宝ホールディングス株式会社は、2020年5月14日に、会社創立100周年となる2025年(2026年3月期)に向けた6年間の長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th(以下、TGC100)」を公開しました。また、TGC100の具体的な実行計画として、2022年度(2023年3月期)を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画「宝グループ中期経営計画2022」、社会・環境課題に対する当社グループの考え方を示す「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」を合わせて公開しました。
 そして、2023年5月11日にTGC100の総仕上げである「宝グループ中計経営計画2025(以下、本中計)」を策定しました。本中計では、「成長・強化領域※への投資を加速させ、企業価値を高める3年間」を経営方針として掲げ、社会課題の解決に資するバリューチェーンを強化しながら商品・サービスを通じた社会課題の解決と、長期的かつ持続的な成長原資を生み出す「稼ぐ力」の向上を統合した経営を推進していきます。
 成長・強化領域への投資では、グループ全体で880億円を計画しており、これにより、グローバルかつサステナブルなビジネスモデルの確立と企業価値の向上を目指します。
 2025年度の定量目標は、連結売上高4,200億円以上、連結営業利益380億円以上、海外売上高比率60%以上(タカラバイオグループを除く海外売上高比率60%以上)、ROE9.0%以上、ROIC7.5%以上を目指します。
 なお、2020年に設定したTGC100の定量目標は既に達成しており、本中計の定量目標がTGC100の定量目標となります。

 

※ 成長・強化領域

宝酒造:安全・安心な生産体制の強化、ヒット商品の開発・育成、重点ブランド育成

宝酒造インターナショナルグループ:北米、欧州での食材卸拠点拡大、和酒の拡大

タカラバイオグループ:試薬・機器事業の拡大、CDMO事業の拡充、創薬基盤技術の価値最大化

長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」の概要

(1)    Vision(ありたい姿)

「Smiles in Life ~笑顔は人生の宝~」

宝グループは、おいしさを追求する技術と革新的なバイオ技術によって、和酒・日本食とライフサイエンスにおける多様な価値を安全・安心に提供する企業グループとして、世界中の暮らしを、命を、人生を、笑顔で満たすために挑戦し続けます。

 

※TGC100でありたい姿として掲げているVisionについて、2020年5月に公開した「笑顔で繋がる豊かな暮らしを ~Smiles in Life~」から、

 本中計で推進する内容と連動した「Smiles in Life ~笑顔は人生の宝~」へとアップデートしました。

(2) 経営方針

技術力、商品力、ブランド力をさらに向上させ、「和酒・日本食市場」「ライフサイエンス産業」における多様な価値を提供することで、宝グループの国内外での存在感を高めながら、持続的な成長と飛躍を実現する。
 

(3) 定量目標

2026年3月期 宝グループ連結 

売上高:4,200億円以上、営業利益:380億円以上、海外売上高比率:60%以上(タカラバイオグループを除く海外売上高比率60%以上)、

ROE :9.0%以上、ROIC:7.5%以上

 

<参考>TGC100の定量目標(変更前)
売上高:3,400億円以上、営業利益:230億円以上、海外売上高比率:44%以上、ROE :8.0%以上

(4) 事業戦略

◆ 国内事業(宝酒造)
国内の和酒No.1メーカーのポジションを活用した付加価値経営への変革によって、着実に利益成長できる事業基盤を再構築し、企業イメージを向上させてグローバル和酒No.1企業(※1)としての根幹を支える。
 

◆ 海外事業(宝酒造インターナショナルグループ)
グローバルな和酒の拡大を加速させるとともに、海外日本食材卸のネットワークの拡充を進めながら、国内外でのグループシナジーをさらに発揮し、海外における和酒・日本食材No.1企業(※2)を目指す。
 

 ◇国内事業・海外事業の共通目的
 国内事業と海外事業が協業することで、一体感を持って「グローバル和酒・日本食材No.1企業(※3)」を目指す。
 

◆ バイオ事業(タカラバイオグループ)

研究用試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティ(※4)を創出し続ける創薬企業を目指す。


その他(国内グループ会社)
宝グループ内における位置付けや担う役割から明確にされた各社のミッションを確実に遂行し、グループの業績と企業価値向上に貢献する。
 

◆経営基盤(コーポレート部門)
グローバルにグループ経営をリードし、グループの企業価値と一体感を高めるためのコーポレート機能を強化するとともに、コーポレート部門の効率性を向上する。
 

※1:国内+海外(輸出+現地生産)で和酒No.1    
※2:海外(輸出+現地生産)和酒No.1+海外日本食材卸No.1
※3:グローバル和酒No.1+海外日本食材卸No.1
※4:治療法

 

「宝グループ中期経営計画2025」の概要

(1) 経営方針

成長・強化領域への投資を加速させ、企業価値を高める3年間

成長・強化領域への投資を加速させ、生産性の向上やイノベーションの創出を働きがいを高めることで実現し、グローバルかつサステナブルな宝独自の2つのビジネスモデルを確立・強化することで、バランスのとれた事業ポートフォリオでの持続的な成長とVisionの実現を達成する。加えて、コーポレートとしての情報発信とコミュニケーションを強化することで、企業価値を高める。

(2) 5つの重点戦略

① ROIC経営を通じた、成長・強化領域への投資

 ・3ヵ年投資計画 880億円 2026年3月期 ROIC目標7.5%以上

② 中長期的な価値創造を通じた、社会の持続可能性の向上を両立する宝独自のビジネスモデルの確立・強化

 

宝独自の2つのビジネスモデル

※2 日本の酒税法上での清酒・焼酎・みりん等のトラディショナルな和酒に、和的な要素を含むイノベーティブな和酒を加えた総称
※3 日本で生まれたトラディショナルな和食と、海外で生まれ日本でアレンジされてきたイノベーティブな日本食の総称
 

③ 無形資産(人的資本・ITなど)への投資の強化(「働きがい」を高めることで、生産性の向上やイノベーションの創出を実現)
 ・「成長・強化領域に必要な人財ポートフォリオの強化」とともに、多様な人財の活躍推進、従業員エンゲージメントの向上などの

  「やりがい」の醸成(風土革新)に取り組む。

 ・ペーパーレス・電子化の推進など業務のアップデートを通じた 「働きやすさ」の実現(業務革新)や国内グループ基幹システム

  の再構築に取り組む。

④ サステナビリティの取り組みに対するグループとしての推進力向上
 ・TCFDフレームワーク等の開示基準への適切な対応と事業を通じた社会課題の解決に向けた取り組み内容の充実。

 ・本中計で推進するサステナビリティへの取り組み

⑤ コーポレートコミュニケーションの強化
 ・社内外のステークホルダーの理解、共感、評価を高め、企業価値向上を目指す。

(3) 定量目標

2026年3月期 宝グループ連結
売上高:4,200億円以上、営業利益:380億円以上、海外売上高比率:60.0%以上、ROE:9.0%以上、ROIC:7.5%以上
 

(4) 事業方針

◆宝酒造

「グローバル和酒No.1」の源泉として、伸長領域を中心に、高い技術力と「NIPPON品質※4」に基づいた新たな市場を創造する商品の開発・育成やブランド価値の向上に注力するとともに、宝酒造インターナショナルグループとの協業も加速させ、社会課題の解決に貢献しながら、利益額・率を大きく向上させる。


※4 日本において「安全・安心で信頼できて高品質である」と評価され、世界中の人々にも同様の価値を提供できる「宝が約束する日本発・世界標準のグローバルな高品質レベル」のこと

◆宝酒造インターナショナルグループ

宝酒造や国内外のグループ会社との協業を加速し、現地のニーズを捉えた輸出・現地生産の商品ポートフォリオの拡充と、和酒に強みを持った日本食材卸としてのプレゼンスの向上によって、和酒と日本食の相乗効果を最大限に発揮した「日本食文化の世界浸透」を推進し、社会課題の解決に貢献しながらグローバル和酒・日本食材No.1企業を目指す。

 ◇宝酒造・宝酒造インターナショナルグループとの協業

 国内外のニーズやトレンドを捉えて、スパークリング日本酒「澪」のグローバルブランド化を中心に、トラディショナル※5、

 イノベーティブ※6の両面から和酒の開発とブランド育成を進めることで、世界の市場に和酒を拡大し、

 グローバル和酒No.1企業としてのプレゼンスを高める。

 

 ※5 日本の酒税法上の規格に合わせたお酒
 ※6 従来の和酒の領域を拡張する革新的なお酒

 

◆タカラバイオグループ

試薬・機器の新製品やCDMOメニューの開発および新モダリティを創出する基盤技術の開発に向けてR&D費用を積極的に投下することで、臨床・創薬分野への事業領域拡大を加速させながら、「ライフサイエンス産業におけるインフラを提供するグローバルプラットフォーマー」としての存在感を高める。

◆国内グループ会社

「成長・強化領域」への経営資源の投下を充実させ、宝グループのROEの向上や社会課題の解決に貢献しながら、持続的に成長していく各社のビジネスモデルを強化する。

◆コーポレート部門

“事業と一体”となって、グローバルでサステナブルなビジネスモデルを強固に支えるグループ経営機能を強化するとともに、グループ全体の生産性の向上やイノベーションの創出の実現に向けた「働きがい」のある環境を構築し、「Vision実現プロセス」の実効性を高めながら、社内外のステークホルダーからの宝グループの評価を向上させる。

(5) 財務方針

 ・健全な財務体質の維持をベースとして、 成長・強化領域への投資を加速するために、グローバルなキャッシュマネジメント

  を強化するとともに、資産の効率性の向上や、政策保有株式の売却等によりキャッシュフローを創出する。

 ・投下資本効率性の観点からのモニタリングを充実させる。

<株主還元方針>
利益水準に応じた適切な株主還元(配当性向35%を目途)を実施する。

(6) 宝グループ中期経営計画2025の体系図(Vision実現プロセス)、TGC100のVisionのアップデート

【Vision実現プロセス】

【TGC100のVision】

TGC100でありたい姿として掲げているVisionについて、本中計で推進する内容と連動した表現へとアップデートします。Visonは「Smiles in Life ~笑顔は人生の宝~」とし、「Smiles in Life」を、宝グループにおける最も重要なワードとして冒頭に掲げます。
そして、笑顔は人生においてかけがえのない大切なものと定義し、「Smiles in Life」と「宝グループ」を強く結びつけるとともに、宝酒造・宝酒造インターナショナルグループが提供する「暮らし」とタカラバイオグループが提供する「命」の両方を想起させる「人生」という表現に改めます。
 

「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」の概要

(1) 基本的な考え方

 宝グループは「自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します」という企業理念のもと、日本伝統の酒造りの発酵技術と最先端のバイオ技術の革新を通じて、食生活や生活スタイル、ライフサイエンスにおける可能性を探求し、新たな価値を創造し続けることによって社会への貢献を果たしてきました。
 穀物や水、微生物といった様々な自然の恩恵のもとで事業活動を行う当社グループにとって、豊かな自然環境が保たれることは、事業を継続するうえでの大前提です。また、食品や医療に関わる事業を営む企業として、安全・安心な製品・商品・サービスを提供することは最も重要なテーマであり、同時にアルコール関連問題をはじめとする様々な社会課題にも対処していく必要があります。
 当社グループを取り巻く社会環境は急速に変化し、気候変動、生物多様性保全、資源保全、人権尊重といった多様な課題への対応が世界的規模で求められており、持続可能な社会づくりに向けた企業の責任はますます大きくなっています。
 当社グループは「Smiles in Life~笑顔は人生の宝~」をありたい姿(Vision)として掲げ、世界中の暮らしを、命を、人生を、笑顔で満たすために挑戦し続けることを宣言しています。そして、事業活動を通じた社会的価値の創造を将来にわたって実現し続けていくためには、様々な社会課題の解決にこれまで以上に取り組む必要があるという認識のもと、「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」を公表しています。
 「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」では、当社グループを取り巻く社会課題について、「安全・安心」をはじめとする10の重要課題(マテリアリティ)を取り上げ、各々についての取り組み方針を示しており、さらに、その方針に基づく具体的な中長期目標を設定した「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」を策定しました。
 当社グループは、これからも事業活動を通じた社会的価値の創造により、ステークホルダーの皆様から信頼される企業グループを目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

(2) 「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」

(3) 重要課題(マテリアリティ)

<マテリアリティ・マトリクス>

(4) 宝グループ・サステナビリティ・ビジョン

関連文書

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